2019年2月19日

豊穣の大地-宮城県大崎市

 蕪栗沼(かぷくりぬま)のマガンの鳩(ねぐら)入り。夏場はカムチャツカ半島の北部で過ごすマガンたちは、9月下旬に北海道宮島沼・秋田県八郎潟を経由して蕪栗沼に飛来し起冬する。日中はエサのある周辺の田んぼで過ごし、日の入りのころ蕪栗沼に戻る。沼で夜を過ごすのは外敵であるキツネなどから身を守るため。かつて2-3万羽だった飛来数が、この冬は7万羽を超えている。

 

   宮城県の北西部に位置する大崎市は、旧古川市とその周辺6町による新設合併で2006年に誕生し、人口は仙台・石巻市に次ぎ県内3番目の都市です。市内には温泉番付で東の横綱となった鳴子温泉郷や伊達政宗の居城があった岩出山城跡・仙台藩の学問所である有備館など名所・旧跡・観光スポットが点在しています。
 特筆すべきはラムサール(湿地生態系保護の国際条約)登録地が2か所あり、マガンをはじめ多くの渡り鳥がやってきます。渡り鳥に選ばれた大崎は、全国に名だたる「きさにしき」「ひとめぼれ」を生んだ豊穣の大地なのです。

マガンたちは震災の年もやってきました。人聞にとっては大きな変化が起きた年でしたが、蕪栗沼には美しい風景が広がりました。震災とマガン飛来、どちらも自然が成すものですが、地球という大きな営みの視点では変わらないのだなと思いました。それは私を妙にほっとさせる安らぎでした。(左右写真とも)

ラムサール登録地「蕪栗沼(かぶくりぬま)」
 大崎市の見どころはたくさんありますが、ここでは市の北東部に位置する回尻地区に焦点をあててご紹介しましょう。この地区が一番輝く季節は冬から春にかけて・・・。田んぼの収穫が終わる頃から、冬の使者であるマガンが飛来し始めます。ピーク時にはその数7万羽。そしてこのマガンたちが朝夕毎日、壮大なドラマを見せてくれるのがラムサール登録地「蕪栗沼(かぶくりぬま)」です。
 マガンの1日は、日の出と共に始まります。1羽のマガンが飛立つのをきっかけに、他のマガンが一斉に飛立つのです。その羽の音と圧倒的な数は一見の価値ありです。飛立ったマガンは日中近くの田んぼで過ごし、餌を食べたり休んだりを繰り返します。そしてまた日没のころに沼へ戻ってきます。いわゆる塒(ねぐら)入りで、朝とは反対に数えきれないほどのマガンが沼を目指して四方八方から集まってくるのです。どちらも言葉にならないほどの感動です。こんな光景が2月下旬まで毎日繰り広げられます。

月と雁。昔は日本各地に飛来するため雁とも呼ばれ親しまれてきたマガンですが、手つかずのままの蕪栗沼には変わらず飛来してきます。

マガンのお土産、北帰行、春ヘ
 冬の間は田んぼで過ごしたマガンは餌を食べては糞をします。結果として田んぼは肥沃となることから、多くのマガンが降り立つ田んぼでは無農薬栽培が行われています。まさに自然の恵みです。このマガンの習性を利用した栽培法を「ふゆみずたんぼ」そしてそこで収穫されるお米を「ふゆみずたんぼ米」と呼んでいます。安全安心な美味しいお米です。2月中旬にもなるとマガンはめっきり少なくなります。ユーラシア大陸の北東部のカムチャッカ半島を目指して旅立ちます。日常生活では卒業・入学と、別れと出会いの時期を迎えます。大崎にも少しずつ春の花の季節がやってきます。

 加護坊山(かごぼうやま)の桜。地元にとってはまさにシンボル。向こうに見える山の頂上からは衝が一望できる。写真手前には、パークゴルフのコースが見える。18ホールあり、日祭日には賑わう。9月下旬から始まるマガンの越冬、そして卒業・入学シーズンを終えると桜の開花と、大崎市は自然と人々の曽みが溢れています。

 

桜の名所・加護坊山
 春といえば桜。桜といえば田尻地区のシンボル加護坊山(かごぼう山)。4月の下旬には224mの頂上付近が2千本近い桜で彩られます。また加護坊山は、パークゴルフ場のコースが整備されていて、市民の憩いの場として年中賑わっています。頂上からは360°のパノラマが楽しめる他、天然の芝で覆われた大きな斜面が、子供達の格好の遊び場となっています。四季を通じて自然を満喫できる大崎市田尻、訪れた方を癒してくれます。ぜひ一度お訪ねください。

◇わが街・大崎市への行き方
【JR】仙台から東北新幹線で大崎市内の古川駅まで約15分。東京駅から古川駅までは約2時間。蕪栗沼は、古川駅から車で約40分、JR田尻駅からは車で約20分。【自動車】東北縦貫自動車道で浦和料金所から古川インターチェンジ(大崎市)まで約4時間45分。仙台宮城インターチェンジから古川インターチェンジまで約35分。